12月9日は小菅優のピアノ・リサイタルに行った。

小菅優は1983年生まれ。

「現在ヨーロッパで、高度なテクニックと美しい音色、若々しい感性と深い楽曲理解で最も注目を浴びている若手ピアニストの一人。特に、『ダイナミックな音楽表現』(ハノーファー紙)や『天使の翼の先端が頬に触れた瞬間を感じさせるピアニシモ』(フランクフルト紙)などの批評を得て、聴衆から熱狂的な支持を得ている……」

とのことであるが、ハノーファー紙が天使の翼の先端が頬に触れた瞬間を感じられなかったことだけはわかる。そういう前情報でもって、

バッハ:インヴェンションとシンフォニア

リスト:ソナタ ロ短調

リスト:ノクターン “夢のなかに”

ほかアンコール1曲を聴いた。

バッハは普通のピアノというかまだ誰が弾いても違いがわからない。上手だなというほどの印象。古今東西のピアニストを聴き込んでいるわけでないのでよくわからないし、天使の先端はこなかった。

後ろのほうの席だったので休憩の間にピアノに近づいて、スタインウェイであることを確認。わかったからどうだということでもないのだが。

で、リストのソナタで初めて超絶技巧というものを目の当たりにした。後ろのほうだったけど鍵盤はよく見える位置だったのでよかった。ミューズのマシュー殿下がピアノが(ギターも)うまい、すごくうまいと思ってたけど、すごくうまいけど、比べ物にならん。我らがマシュー殿下も練習すればこの曲を弾けると思うけど小菅優のようには弾けないだろう。つーか何でマシュー殿下なんかが出てくるのかというと、今まで映像とか実物で観たピアノの手の動きで一番うまかった、上手そうだったのが、超絶な指捌きをしていたのがマシュー殿下だっただけで、クラシック畑の人にしてみたらあんなのどーってことなかったのかもしれない。

ダンダンダンとペダル踏む音まで鳴り響く、熱のこもった演奏。ハノーファー紙は間違っていなかった。ダイナミックな音楽表現。